これまで、システム開発会社で仕事をしていた経験もあるので、余計に思うのかもしれませんが、仕事が難しくて悩んだことがありません。
一方で、自分には向いていないかも知れないと思うことがよくあります。
「誰でも出来る仕事」だと思っていることに繋がるのですが、それぐらい自分で調べればいいのに、と思ってしまうことがあります。
実際に、自分で調べるスキルのあるユーザとは、やり取りもスムーズです。
そうでないユーザとは、どんな簡単なことでも、ひっかかって、やり取りに時間がかかってしまいます。
社内SEの役割を考え直し、求められる自分像を紹介したいと思います。
この記事の内容
社内SEの役割や求められる人材
社内SEの仕事は次の4つに大きく分けることができます。
- システムの企画
- システムの開発
- システムの運用
- ユーザサポート
一般的な区分けなので、個別の会社によって異なってくると思います。
最近は、開発を外部に委託したり、サーバー運用でクラウドを利用したりして、全てを社内で行うことが珍しくなっています。
セキュリティ対策も重要な仕事になってきているので、社内SEが担当する業務は増えている感じです。
社内SEは間接部門なので、ユーザから依頼があれば動かざるを得ません。
雑用係というか、総務と同じですね。
そんなこと、ネットで調べればわかるよ、というのですが、調べ方もわからないというのが現実です。
時には、解決方法が記載されたホームページのURLをユーザに知らせて問題解決することもあります。
まだ、私が新入社員だった30年前は、会社に数台のパソコンしかありませんでした。
仕様書は手書きで、ユーザから指定があった時だけワープロで入力して提出しました。
プログラムはコーディングシートに手書きで記入して、パンチャーに入力してもらったものです。
それが、今ではパソコンがないと仕事になりません。
パソコンからデータを取り出して、パソコンに結果を入力して、それが仕事になっています。
仕事を円滑にすすめるため、社内SEは会社に不可欠な存在になっています。
これがさらにすすんで、パソコンではなくスマホを使うようになったらどうなるんでしょうね。
個人のスマホに作業指示が飛んで、その結果がスマホを介して送信されます。
Uber eatsとか、すでにそうなっているので、驚きはしませんが、あと10年もすれば、一般の会社でもそうなっている可能性が高いですね。
5Gが主流になって、ギガ使い放題になれば、無線LANの心配も無くなります。
社内SEに求められるスキルは、ほぼ無くなってくると思います。
反面、求められるのは「人格」では無いでしょうか。
役に立ちたいという思いの強い人が社内SEには向いていると思います。
難しいことは、外部に委託して実現すれば良いですが、わからないという人に寄り添って、仕事を円滑にすすめるには、人格者でないといけません。
会社の規模にもよると思いますが、社内SEが会社の中で担っている役割を見ていきたいと思います。
システムの企画と開発
システムは「作る」段階と「使う」段階に分けることができます。
システムの企画と開発は「作る」段階になります。
システムの企画
システム「企画」というと難しそうに思いますが、こんなソフトがあったら便利だよね、というのが企画です。
個人事業で仕事を始めたばかりの頃は、エクセルで経費処理していても、確定申告で簡単に集計できますが、仕事の規模が大きくなり、従業員を雇ったりして法人組織になると、仕訳件数が増えてきます。
決算書を作るのも大変な作業になるので「会計システムがあったら便利だよね」というのが企画です。
企画書らしいものにするのであれば、エクセルを使って決算書を作るのにかかる手間を時間などの単位で数値化して、会計システムを使った場合と比較します。
会計システムを導入するコストを計算して、導入後の効果を予測すれば企画書になります。
時間やコストだけでなく、決算書の正確性というか品質も考慮しなければいけませんね。
こんな感じで、会社のコストを減らしたり、売り上げを増加させるために、システムで出来ることを考えて提案するのがシステムの企画です。
新規でシステムを提案するだけでなく、現存のシステムを使いやすく改修するのもシステム企画です。
何かしらのシステムを使っている会社がほとんどなので、改修やリプレースの企画が増えています。
セキュリティ対応でリプレースが必要な場合が多く、その場合の効果を数値化しにくいので、企画の仕事も大変です。
システムの開発
システム「企画」で、どのようなシステムが必要なのか決まったら、システムを「開発」していきます。
フルで自社開発している会社もありますが、多くの場合、開発作業は外部のシステム開発会社に委託してしまうことが多いので、社内SEとしては、発注先の選定を行ったり、予算や進捗の管理、受け入れテストなどを担当します。
簡単なプログラム修正を行うこともあるので、プログラミング知識はあった方が良いでしょう。
私がプログラマーをしていた時と違い、最近は内部統制の関係で、システムの変更手順が厳格化されていることがあります。
決算報告に影響するプログラムを修正する場合だけでなく、本番データを直接変更するのも承認手続きが必要になります。
システムの運用とユーザサポート
システム運用やユーザサポートはシステムを「使う」段階になります。
システムの運用については、大きく分けてソフトウェアに関する部分とハードウェアに関する部分があります。
ソフトウェアに関する部分の代表的な作業は、ジョブの監視とエラー発生時の対応です。
ハードウェアに関する部分については、サーバーやネットワークの監視作業があります。
ユーザ管理もシステム運用の一環ですが、その内容は会社によって異なります。
ネットワークやサーバーにアクセスするためのユーザー管理は、ハードウェアに関するインフラチームが担当して、基幹システムの利用はソフトウェアに関するアプリチームが担当していたり、両方同時に管理したり、形態は様々です。
ジョブの監視とエラー対応
ソフトウェアに関する部分の運用で代表的な作業は、ジョブの監視です。
汎用機だとバッチ処理で作業していることもあります。
私は、取引先とのデータ交換を日常的に監視しています。
エラーを検知するとメールで連絡が届くので、ジョブの状態を確認し、原因が特定できると決まった手順に従ってエラー対応を行います。
原因が特定できない場合や対応手順が決まっていない場合は、システム開発会社にエスカレーションします。
サーバーやネットワークなどインフラの監視
ハードウェアの運用も社内SEが行う場合があります。
私が勤務するような小さな会社の場合、全部、社内SEの仕事です。
サーバーの監視と言っても、調子が悪くなれば再起動するぐらいだし、ネットワークも同じような感じです。
最近、よくあるのは端末が多すぎてネットワークに接続できないという問題です。
無線LANに私物のスマホを接続したいというニーズが多く、業務利用を条件に認めてしまっているからです。
パート従業員も含め、現場作業者同士の連絡にスマホアプリを使用しています。
何十人といるパート従業員のスマホが社内LANに接続しているので、IPアドレスが足りなくなりました。
ルーターの設定変更も検討していたのですが、他の影響も考えると、無線LANに接続できる端末を制限することにしました。
ユーザサポート・ヘルプデスク
社内SEとして、一般の方がイメージしやすいのは、ユーザサポートやヘルプデスクの仕事です。
以前、私が常駐していた大企業では、システム会社の社員が常駐して、ヘルプデスクの業務を請け負っていました。
今は、全て私が担当しています。
基幹システムについての不明点は、システム開発会社に直接連絡させるようにしていますが、それでも問い合わせが多くて、それだけで手いっぱいになってしまいます。
何が、そんなにわからないのでしょうね。
大抵のことは、電話をかけてくるまでに解決しています。
もしくは、どうしても現地まで来て欲しいと言われ、出かけていくと解決しています。
システムの不具合があっても、ほとんどは再起動で解決します。
再起動できない場合でも、電源や配線が抜けているといった、くだらないことが原因だったりします。
それは、システムの仕事ではないでしょう、と思うのですが、パソコンが起動しないというのは、社内SEが対応しなければいけない仕事だとユーザは認識しているようです。
下手すると、コピー機のメンテナンスまで依頼されてしまうので、メーカーの連絡先を職場に大きく掲示するようにしています。
会社の中での立場や発言力は?
社内SEと言ってもサラリーマンなので、会社の中での立場があります。
最初から言っているように、間接部門なので、営業や生産など直接部門に比べると弱い立場です。
言っては何ですが、社内だからこその、仕事の押し付け合いみたいなこともあります。
ただ、同じ会社に長年勤務する仲間だからこそ、協力しあえる部分もあるので、善し悪しです。
私は社内の人間関係の作り方が下手みたいです。
というか、好き嫌いが激しいので、好きな人としか仕事をしていません。
こんなわがままを言えるのも、社内SEだからかも知れませんね。
外部のシステム開発会社のSEだったら、即、契約を打ち切られてしまいます。